川渡る船

 池田町郷土資料館で、驚いたことがもうひとつありました。

 昨日書いたように、壁に明治から昭和にかけての古い写真が展示してあったのですが。

 池田町には、十勝川と利別川という、大きな川が2本流れています。
 内陸には道路などない開拓期においては、川を遡っての船での輸送が大きな役割を果たしました。

 そして、集落ができてからも、橋の建設はなかなか難しく、それこそ昭和の時代に至るまで、渡し船が活躍したようです。

 十勝川は大きな川だけに、かつではあちこちに渡船場があったようで、現在でもその痕跡が残っている場所もあります。

 渡船というからには、人と自転車、荷車、せいぜい馬くらいは乗せたのだろうなあ、と思っていたのですが。
 この写真には驚きました。

 なんとタクシーが乗っています。
 これは大正期のようで、十勝川の渡船です。

 で、こんな大きな船もあったのだなあ、と感心していたら、この写真で腰を抜かさんばかりに驚きました。

 なんとバスが渡船に乗っています。

 しかも説明によれば、昭和29年まで存続していたとか。
 写真を見る限り、前後のタイヤギリギリの幅です。ていうか、こんな重い車両を横向きに乗せる発想が大胆です。

 転落や転覆事故とかなかったのかなあ、と、思いをはせてしまいましたが、写真を見る限り、帽子をかぶったバスの運転手らしき人も、のんびり船に揺られているのが見て取れます。

 やはりこういう部分では、のどかな時代だったのでしょうね。 

「田園」の謎解ける

 今月初めの連休中に、池田へ行って来ました。

 ぶらぶらと、気ままに車を走らせていると「資料館」の看板が目に付いたので、寄ってみたのです。

 ここは、道東道の池田インターチェンジ近く、高島地区にある池田町郷土資料館で、画像でおわかりのように、元は高島中学校だった建物を利用しています。

 さっそく入館してみると、やはり近くには農業関係の展示室がありました。

 こういった農具関係はまあ、わりとよく見る展示品なのですが。
 この展示室の壁にあるものが、なかなかに興味を引くものでした。

 明治時代の写真がずらりと飾られていたのです。

 池田町の歴史は、この高島地区に大規模牧場が造られたことから始まり、鉄道の駅ができるまで、池田町の中心は高島だったのだそうです。

 驚いたのが、この写真。

 明治33年に水田試作地がつくられ、明治41年には本格的に稲作がなされていたと、初めて知りました。

 今でこそ十勝は畑作中心で、水田のイメージはありませんでしたが、減反政策で畑作へ転換されるまで、池田は水田地帯だったのです。

 そう言われてみると、この近隣の畑は、水田だった頃の名残があるようにも見えます。

 先月書いた田園ホールの由来はこれだったのですね。

 玉置浩二じゃなかったようです。(笑

バンゴベ

 先日、留萌市へ出張に行ったのですが、その際にちょっと不思議な地名を見かけました。

 「バンゴベ」

 なにかまるで謎のような地名です。

 ナビ画面を拡大して、地名表示をさせると、なんと「留萌市留萌村バンゴベ」とあります。

 留萌市の中に「留萌村」があるのも驚きですが、なぜに「バンゴベ」なのでしょう。
 ここは、神居岩温泉の近くなのですが、アイヌ語の響きにしても、ちょっと聞き慣れた感じではありません。

 あまりにインパクトのある地名だったので、調べてみましたが、あるものです。

 意外なことに留萌振興局のHPにその答えがありました。

 それによると、アイヌ語で下流の川を意味する「パンケベツ」が転訛して「バンゴベ」になったそう。

 そう言われると、確かに浜言葉っぽい響き。
 地元の浜訛りがそのまま地名になるなんて、なんだかちょっと楽しいですね。

初夏に降る雪

 とある山中を抜けている最中のことです。

 突如雪が降り始めました。

 と言っても、もちろん冬のそれではなく。

 ちょうど、気象条件が重なっていたのでしょう。
 近隣の木々が、一斉に綿毛を付けた種子を飛ばし始めたのでした。
 うまく写真が撮れませんでしたが、右下の木から、まさしくぶわあ、と、綿毛が散っていきます。
 車を運転していると、それはまるで雪の中を走っているよう。
 でも、ちょっと移動するとすぐにそれはやんでしまいました。帰宅後調べてみると、恐らくはドロノキの種の飛散なようです。やはりその場所だけの条件の重なりなのでしょうね。
 日高山脈もなんだか水墨画のように、幻想的に霞んでいます。

 ずっと雨が降らず乾燥しているので、塵埃などもあると思いますが、山々でもあの雪が降っているのかも知れませんね。

5月の猛暑日

 昨日の暑さと言ったら、それはもう驚くばかりでしたね。

 あちこちで報道されているとおり、十勝では帯広市と足寄町、池田町の最高気温が38.7℃となって、5月の、という形容詞なしに最高記録を更新したそうです。

 事務所の外気温(上)も、外壁の照り返しがあったとは言え、この数字です。

 借りた本を返すため、友人を訪ねにオートバイで赴きましたが、身体に当たる風がぬるいどころではなく、まさに熱風。

 車で行けば涼しいだろうとお思いでしょうが、実は今、車のエアコンが故障してまったく効かないので、むしろ車では行きたくなかった、と言うのが真相だったりします。(笑

なつぞら


 タイトルは、朝ドラではありません。(笑

 5月下旬の北海道は、一気に気温が上がることもあるものの、今年のそれは上がり方が半端ないかんじです。

 今日も日中はかなりの暑さで、明日はさらに上がり、明後日の予報に至っては、芽室町の最高気温が35.5℃、と目を疑うような数字が出ています。

 近所ではエゾハルゼミがさかんに鳴き始めているのですが、エゾハルゼミは気温が20℃以上にならないと鳴かず、曇ったりして気温が20℃を切るととたんに鳴き止んでしまうのだと、以前生物に詳しい知人に教わったことがあります。

 そんなわけで、エゾハルゼミの声を聞くと、夏らしさの演出に拍車をかけているかんじがしますね。

 週末は運動会が開かれる学校もあるそうで、外に出る機会の方も多いと思います。
 みなさま、どうぞ熱中症と紫外線には、十分にお気を付けください。

自動運転

 大樹町へ行って来ました。

 ひさびさに、国道ではない道々を走っていますと、青い看板が目に付きました。

 自動運転走行ルート、だそうです。

 ああ、そう言えば大樹町で、バスの自動運転の実証実験が始まった、という記事が新聞に載っていたことを思い出しました。

 これを見ると、新しい時代の技術が生まれつつあるのだなあ、と実感しますね。
 人手不足の対策にもなるので、期待されているのでしょう。
 新しい技術なので、マスコミが取り上げたくなるのもわかります。

 しかし、個人的にはマスコミが持ち上げるように、そんなに簡単に実現するのだろうか、と思っています。

 自動運転そのものを否定するのではありません。
 しかし北海道は、なんと言っても冬の凍結路面や吹雪など、気象条件が厳しい面があります。そんな中で完全な自動運転が普及するのには、まだまだ開発に時間がかかるのではと思っています。
 開発スピードそのものは、かなり早まるとは思うものの、信号や歩行者のない、高速道路は比較的早く自動運転が実現するかもしれませんが、一般道となるとどうでしょう。

 先日もテレビで、まるですぐに自動運転全盛の時代が来る、そして運転など過去の遺物のようになる、事故を起こすから人間は車など運転してはいけない、という論調でしたが、果たしてそうでしょうか。
 ヒトが車を運転するのは、苦痛ばかりではないと思うのです。
 自分自身が車を運転するのが好きで、まったく苦にならないタイプなので、すべてが自動化されたとしても、自分自身で車を操る楽しさはなくならないし、そういったものは、残ると思っています。

 もしも完全な自動運転が実用化したとしたら。
 それは、現在で言う「自動車」とはまったく別の、鉄道や飛行機などと同じ「別の乗り物」であると、個人的には思っています。

 

ツクシ

 事務所の庭を見ていますと。

 何かあまり見慣れないものが生えてきています。

 ご存じツクシですね。
 こんなところにこの時期に生えるのは珍しいなあ、と、のんきに見ておりましたが。

 調べてみると、ツクシって、なんと雑草で有名なスギナの胞子茎だったんですね。恥ずかしながら初めて知りました。

 庭をスギナに侵略されても困るので、さっそくご退場いただきましょう。

砂塵嵐

 昨日から十勝全域、いやほぼ全道に渡って大風が吹き荒れました。

 昨日20日は、道東自動車道で土煙による視界不良で、多重衝突事故があったことも報道されました。事故に遭われた方々には、心よりお見舞い申し上げます。

 そして今日も風は吹き荒れ。

 所用で音更に行くと、帯広市街方向が茶色く煙っています。

 空も雲が凄まじい早さで流れて行くのですが、茶煙はとどまり続けます。

 帯広市街はすっかり覆われてしまっていますね。まさに砂塵、でまるで砂漠であるかのよう。

 今季の雨の少なさと強風によるものですが、こんなにひどいのは初めて見ました。

 日が落ちると風は収まり、雨がしとしと降り始めたので、この砂塵も洗い落とされると思いますが、今年の気候の神様は、ちょっといたずらが過ぎるようです。
 

つむじ風

 「つむじ風」という大貫妙子の曲がありますが。(と書いてもたぶん誰もわからない)

 十勝南部の畑作地帯を走っておりますと、この日は5月と思えない夏日で、それに日高山脈からの吹き下ろしが加わったためでしょう。つむじ風が起きていました。

 最初は走っているすぐ横の畑で、突然土埃が舞い始めたので、ぎょっとしましたが、これがあちこちで起きていることに気付きました。

 直径は数メートル程度の小規模なもので、畑の土を巻き起こすので、それと気付く感じです。

 そしてそのまま数十メートル移動。

 その後はふわりと広がって、なにもなかったように収まります。

 気象条件が重なっていたのでしょうね。
 太陽で暖められた地面に上昇気流が起き、そこへ水平方向の風が加わることで起こる、という原理は知ってはいたものの、何もないところに突然(それも結構頻繁に)起こっていたので、ちょっと驚きでした。

 自然ならでは、ですが、あまりに突然起きて忽然と消えるので、なんだか不思議な感じがします。