航路復活

 北海道へ帰る日は、少し時間に余裕があったので、フェリーターミナルのある八戸まで、海沿いを北上することにしました。

 震災直後に本当にわずかながら、復興のお手伝いに現地入りしたこともあり、どの程度復興しているのか、見たい気持ちとあの惨状を思い出すので、避けたい気持ちとで揺れましたが、あれから7年。自分の目で見た方が良いだろうと、車を向けました。

 盛岡からいちばん近い海である宮古は、子供の頃、海水浴場の定番として、慣れ親しんでいたものです。
 歳月による変化と震災の復興によって、街の姿は自分の記憶からはすっかり離れたものになっていましたが、見る限りでは、それなりに復興も進んでいるようで、港には立派な道の駅も建設されて、平日でしたがそこそこに賑わいを見せていました。

 そして北海道にも嬉しいニュースとしては、今年6月から新たに室蘭~宮古間のフェリー航路が開設されます。

 この道の駅の対岸にある、藤原埠頭という場所がフェリーターミナルとなるそうで、現在ターミナルビルの建設が急ピッチで進められていると、地元紙で報道されていました。

 航路開設の大きな要因としては、首都圏への物流増強のため、そしてトラックドライバーの休憩時間確保の必要から、航海時間が10時間となる、室蘭~宮古間が選定されたそうです。

 復興の一翼として、岩手県沿岸へのフェリー就航が歓迎されるのはもちろん、北海道側もせっかく巨額の費用を投入して新築した、室蘭港ターミナルビルが、2008年の東日本フェリーの破綻により、使用されないままになって約10年。ついに定期航路が復活して、室蘭の街に賑わいが戻ることは喜ばしいことです。

 本州から離れている北海道の物流には、大きな輸送力を持つ船舶が有効ではないかと、個人的には常々思っていたので、室蘭航路の復活は、航路の選択肢が増えることもメリットですね。
 とは言え、当面一日一便のみであること、使用船舶が苫小牧~八戸で老朽化した古い船を使用すること、十勝からだと室蘭がやや遠いこと、若干運賃が高いことから実際に使うかどうかは、個人的にちょっと微妙な部分ではありますが。

 しかし、これを弾みにかつての航路が再開されることを、願わずにおれません。
 現在は苫小牧西、東の両港、小樽、函館、の4港で、通算8航路しか残っていませんが、かつては釧路や広尾航路など、13~14航路もあった時代も存在したのです。

 昨今問題になっている、物流現場の輸送力増強や労働環境改善にもひと役立てるのでは、と思うのは私だけでしょうか。
 もちろん、巨額の船舶建造費用や港の整備費用などから、一企業の力だけではなく、自治体、ひいては国の力も必要であることは明白ですが、北海道の物流を確保する意味からも、鉄道と船舶輸送を組み合わせるなどの、思い切った対策が必要ではないか、…と言うのは、まあ戯れ言なんですが。(笑)

 ちなみに、宮古のフェリーターミナルそばには、浄土ヶ浜という景勝地があります。

 ご覧のように美しい海で、さっぱ舟と呼ばれる、小型の舟だけで行ける、洞窟などもある観光地で、今回は余裕がなくて行けませんでしたが、機会あればぜひまた訪れてみたいものです。