茶色の毛皮

 とあるちいさな河原の現場で仕事していますと。

 視界の隅に、なにか動くものが目に入りました。
 近くに遊水池もあるので、鳥かと目を向けてみると。

 茶色の毛皮がモソモソ動いています。

 大きさはネズミより大きく猫よりちいさいくらい。
 テン?イタチ?いや、ミンクか?

 驚くことに、3m程度まで近づいても逃げません。

 さすがにここから距離を縮めると、川を泳いで逃げてしまいましたが。

 趣味のカヌーで川を下っていると、時折川を横断する姿を見ることがあるので、泳ぎ姿は見慣れたミンクのそれでした。

 後で生物に詳しい知人に写真を鑑定してもらうと、やはりミンクだとのこと。
 写真は撮れませんでしたが、こちらを見つめる顔は、なかなかにかわいいものでした。

 しかし。
 ご存じのように、毛皮を採るために輸入され飼育されていたものが逃げて繁殖し、在来種の魚等を根こそぎ食べてしまうなど、顔に似合わず凶暴だそうで、現在では特定外来生物に指定されています。

 この川には、これまた外来種のウチダザリガニもたくさん生息しているので、それを食べているのでしょうか。

 人間の勝手で繁殖せざるを得ない状況になったとは言え、あまり歓迎されざるものであることには変わりません。