主の爪痕

 とある現場へ向かう途上の、道のはずれに。

 なんだかどこかで見覚えのある足跡が。

 これは…まごうかたなき熊さんですね。

 爪痕が立派です。大きさからしても成獣のようです。

 比較的新しい足跡と思われますが、この直前まで車で移動していたので、その音で森へ消えてくれたようです。

 この場所はなんどか来たことがあるのですが、足跡を見たのは初めて。
 これまでは、彼らの方が賢く鼻も利くので、こちらの音や気配で姿を消してくれていたのですが、昨今は若い熊が人間を恐れることを知らずに、興味を持って近づいてくる個体もあるそうなので、やはり注意は必要ですね。

 この場所は、森のすぐそばでしたが、そこはやはり彼らの聖域。彼らが主なのです。

 山に入る時は、くれぐれも注意しましょう。

日暈

 どんより天気が続いていた十勝ですが、今日はひさびさに太陽を拝むことができました。

 そんなお昼前、ふと空を見上げると。

 日暈ですね。「にちうん」、または「ひがさ」、とも読みますが。気象用語では「ハロ」とも言うそうです。
 低気圧が接近する際などに見られる、プリズム現象なのでまあさほど珍しいものでもありませんが、こんなにくっきりしたものを見たのは久々でした。

 なので、これが出ると天気が崩れる、と言い伝えられることが多いのですが、天気予報では明日は曇となっています。

 同時に、幸運の前触れ、とも言われているので、個人的にはいい方を信じたいですね。
 そう。信ずるものは救われるのです。きっと。たぶん。(笑

逆さとっくり

 「あれ、なんですかね?」
 と、取引先の担当さん。
 見ると、近くの倉庫入り口の上に、とっくりを逆さにしたような、不思議なものが生えています。


 「ハチの巣ですかねえ」
 どうもそう見えますよね。でもこんなかたちのハチの巣は見たことがありません。

 「トックリバチかなあ、いやスズメバチか」と、別の担当さん。

 しばらく様子を見ていましたが、どうもハチが出入りしている様子がありません。
 空なのでは?ということで、この後巣作りが活発化すると、倉庫に出入りする方に被害が及ぶ危険性があったので、駆除することになりました。

 ちょうど近くの階段から手を伸ばせば、取れる場所だったので、担当さんが慎重にもぎ取りました。


 離れるとひび割れのように見えたのは、実は模様で、ハチは樹皮を剥ぎ取って巣を作るので、樹種によって色が違い、このような模様ができるのだそうです。
 中を見ると、お馴染みの六角形断面の巣が見えますね。

 取り出してみると、なんと幼虫が生きていました。孵化前の卵もたくさん付いています。

 調べてみると、どうやらコガタズズメバチの巣のようです。営巣を始めて間もない頃は、このようなとっくり型をしており、女王バチが一匹で世話をするようです。おそらくこの時は、巣の中に入れる餌を捕りに行っていたのではと。
 中に居た幼虫は働きバチで、彼らが孵化して成虫になると、巣をどんどん大型化して、よく見る縞模様のボール状になるのだそうです。
 スズメバチの中では比較的おとなしい方だそうですが、新しい女王バチが誕生する夏の後半には、女王バチを守るため、攻撃的になるとも。

 取引先に被害が出なかったのも幸いですが、それにしてもちいさなハチが一匹でこんな不思議なかたちのものを作ってしまうとは、自然ってつくづくすごいと思いますね。

縄張り

 今日は中札内へ行きましたので、札内川ダムまでちょっと足を伸ばしてみました。

 が。もうそんなシーズンなんですねえ。
 「熊出没注意」の看板があちこちに立っていました。

 ダムでは管理所付近で、ラジオの音が響いていたので、なにかイベントでもやっているのかと思いきや。

 こういう理由でした。

 ちなみに別にダムマニアではありません。(笑

 で、その帰り道。

 見てしまいました。

 「本人」の姿ではないですが、痕跡を。そう、熊フンですね。

 それがですね、帰り路の車線上、1kmほどの間隔で四カ所も。
 しかもいずれも車線のど真ん中に見事に残しています。
 (尾籠なので写真はありません)

 てことはこれ。やっぱり縄張りの主張なのでしょうね。

 アスファルトの上に主張しているって事は、人間に対してなのかも知れません。

初夏に降る雪

 とある山中を抜けている最中のことです。

 突如雪が降り始めました。

 と言っても、もちろん冬のそれではなく。

 ちょうど、気象条件が重なっていたのでしょう。
 近隣の木々が、一斉に綿毛を付けた種子を飛ばし始めたのでした。
 うまく写真が撮れませんでしたが、右下の木から、まさしくぶわあ、と、綿毛が散っていきます。
 車を運転していると、それはまるで雪の中を走っているよう。
 でも、ちょっと移動するとすぐにそれはやんでしまいました。帰宅後調べてみると、恐らくはドロノキの種の飛散なようです。やはりその場所だけの条件の重なりなのでしょうね。
 日高山脈もなんだか水墨画のように、幻想的に霞んでいます。

 ずっと雨が降らず乾燥しているので、塵埃などもあると思いますが、山々でもあの雪が降っているのかも知れませんね。

砂塵嵐

 昨日から十勝全域、いやほぼ全道に渡って大風が吹き荒れました。

 昨日20日は、道東自動車道で土煙による視界不良で、多重衝突事故があったことも報道されました。事故に遭われた方々には、心よりお見舞い申し上げます。

 そして今日も風は吹き荒れ。

 所用で音更に行くと、帯広市街方向が茶色く煙っています。

 空も雲が凄まじい早さで流れて行くのですが、茶煙はとどまり続けます。

 帯広市街はすっかり覆われてしまっていますね。まさに砂塵、でまるで砂漠であるかのよう。

 今季の雨の少なさと強風によるものですが、こんなにひどいのは初めて見ました。

 日が落ちると風は収まり、雨がしとしと降り始めたので、この砂塵も洗い落とされると思いますが、今年の気候の神様は、ちょっといたずらが過ぎるようです。
 

つむじ風

 「つむじ風」という大貫妙子の曲がありますが。(と書いてもたぶん誰もわからない)

 十勝南部の畑作地帯を走っておりますと、この日は5月と思えない夏日で、それに日高山脈からの吹き下ろしが加わったためでしょう。つむじ風が起きていました。

 最初は走っているすぐ横の畑で、突然土埃が舞い始めたので、ぎょっとしましたが、これがあちこちで起きていることに気付きました。

 直径は数メートル程度の小規模なもので、畑の土を巻き起こすので、それと気付く感じです。

 そしてそのまま数十メートル移動。

 その後はふわりと広がって、なにもなかったように収まります。

 気象条件が重なっていたのでしょうね。
 太陽で暖められた地面に上昇気流が起き、そこへ水平方向の風が加わることで起こる、という原理は知ってはいたものの、何もないところに突然(それも結構頻繁に)起こっていたので、ちょっと驚きでした。

 自然ならでは、ですが、あまりに突然起きて忽然と消えるので、なんだか不思議な感じがします。

鏡の湖

 置戸へ行った帰り、ちょっと時間があったので、半年くらいぶりにおけと湖へ寄り道してみました。

 すると。

 昨年秋もそうだったように、今日も湖は鏡のよう。

 天気も快晴なので、青空がきれいに映えます。
 いつもこんなに凪いで穏やかなのではないと思うのですが、どうやらおけと湖の神様は、なかなかに心やさしいようで。
 今なら湖に鏡を落としても、拾って出てきてくれそうな気がします。気がするだけですが。

 と、近くにはまだ桜も咲いていました。

 これだけなんですが、なんだかちょっと得した気分なのは、単純だからでしょうね。(笑

ドラムの練習

 先日、知人に頼まれて、知人の知人の引っ越し(なんかややこしいですね)に伴う、不要品の引き取りを手伝いました。

 引っ越す方の、それまで住まわれていた家はそれなりに古いものでしたが、見ると軒先になんか穴が開いています。

 聞くと、森が近い立地のために、キツツキが来て穴を開けてしまうのだとか。
 これは玄関側ですが、反対側にも三カ所ほど穴が空いていました。

 キツツキ類は、木造家屋の壁にも穴を開けるとは聞いていましたが、実際に見たのは初めてです。

 わが事務所の立地も、ピウカ緑地が近いので、時折キツツキのドラミングが聴こえますが、幸い壁が鉄板のサイディングのためか、いままでつつかれたことはありません。

 話をさらに伺うと、それもけっこうな朝早くから、寝ている耳元で盛大につつくので、飛び起きてしまうのだそうで、鳥は全般に好きだけど、キツツキだけは嫌いだ、と仰っていました。(笑

 家の壁には、どう考えても虫はいなさそうなのに、なぜ穴を開けるのか謎ですね。
 しかも人家の壁だと、当然中に空間があるために、余計音が響くのだそうです。

 …ってことは、もしかすると、ドラミングの練習?!

にょきにょき

 今日は朝のうちこそ晴れていましたが、珍しく(?)天気予報通り、昼前から雪が降り始めて寒い一日で、また冬に戻ってしまいました。

 でも昨日は晴れて暖かな一日だったので、やはり三寒四温なのでしょう。

 さて先日、ピウカ緑地の福寿草が咲いてない、という話を書きましたが。

 昨日、散歩がてら歩いてみるとこんどは土手に群生していました。

 やっぱり3月だと早かったようです。

 そばには例年お馴染みのふきのとうも。

 よく見てみると、なにかわからないものが、にょきにょきと。
 すいません、植物には疎いんです。

 これなんか、もうまさに「にょきにょき」と音が聞こえてきそう。

 やっぱり春ですねえ。あたりにゲラ類のドラミングの音が響き渡っていました。
 ささやかながら、こんな自然の営みがある、ピウカ近辺っていいなあ。