赤レンガ

 先日、仕事で天塩町に行く機会がありました。

 無事仕事が終わったのが、昼過ぎ。この日は帰途に就くだけだったので、こんな時でもないと寄る機会はない、と、ちょっと気になっていた場所に寄ってみました。

 それは、天塩川歴史資料館。

 旧天塩町役場庁舎を改装して、資料館としたのが、平成元年だそうで、元々の建築は戦後間もない昭和26年。

 天塩川、と名称に付くだけに、入り具直後から舟の展示が出迎えてくれます。

 

 世界最古とされる、コククジラの化石も発見されていたそうです。

 

 かつての町長室もそのまま残されています。

 超個人的に琴線に触れたのがこれ。
 戦前のアメリカ製オートバイ、インディアン。
 1927年式というから、昭和2年。それを昭和5~6年頃購入して、昭和30年頃まで乗っていたというのですから驚きです。
 当時、こんな大型オートバイはとてつもなく高価なものであったため、これを買える財力のある方がいたと言うことが、当時の盛況ぶりを伺わせます。

 もっとも。いちばん心惹かれたのは。

 この建物そのものですね。

逆さとっくり

 「あれ、なんですかね?」
 と、取引先の担当さん。
 見ると、近くの倉庫入り口の上に、とっくりを逆さにしたような、不思議なものが生えています。


 「ハチの巣ですかねえ」
 どうもそう見えますよね。でもこんなかたちのハチの巣は見たことがありません。

 「トックリバチかなあ、いやスズメバチか」と、別の担当さん。

 しばらく様子を見ていましたが、どうもハチが出入りしている様子がありません。
 空なのでは?ということで、この後巣作りが活発化すると、倉庫に出入りする方に被害が及ぶ危険性があったので、駆除することになりました。

 ちょうど近くの階段から手を伸ばせば、取れる場所だったので、担当さんが慎重にもぎ取りました。


 離れるとひび割れのように見えたのは、実は模様で、ハチは樹皮を剥ぎ取って巣を作るので、樹種によって色が違い、このような模様ができるのだそうです。
 中を見ると、お馴染みの六角形断面の巣が見えますね。

 取り出してみると、なんと幼虫が生きていました。孵化前の卵もたくさん付いています。

 調べてみると、どうやらコガタズズメバチの巣のようです。営巣を始めて間もない頃は、このようなとっくり型をしており、女王バチが一匹で世話をするようです。おそらくこの時は、巣の中に入れる餌を捕りに行っていたのではと。
 中に居た幼虫は働きバチで、彼らが孵化して成虫になると、巣をどんどん大型化して、よく見る縞模様のボール状になるのだそうです。
 スズメバチの中では比較的おとなしい方だそうですが、新しい女王バチが誕生する夏の後半には、女王バチを守るため、攻撃的になるとも。

 取引先に被害が出なかったのも幸いですが、それにしてもちいさなハチが一匹でこんな不思議なかたちのものを作ってしまうとは、自然ってつくづくすごいと思いますね。