明治28年に作家・国木田独歩がこの地を訪れ、それを明治35年にエッセイとして発表したことを、記念したようです。
苑内はそれほど広くはなく、訪れた時は、人通りも閑散としていました。この後に、地元らしいちいさなお子さんを連れのご家族がひと組来たのみです。
石碑はありますが、所以については、何も記されたものはありません。
これだと由来がまったくわからないのでは、と余計な心配をしてしまいますが。
「空知川の岸辺」を読んだのは、20代半ばの頃、ちょっとだけ明治文学をかじっていた時期がありまして、独歩苑を知ってから、国木田独歩に興味を持って、何冊か読みました。
独歩の小説は、かなり細かな情景描写がされていることから、明治時代を感じることができて、新鮮な思いがありました。
いい時代なもので、現在では独歩の作品はKindleを使えば、主要な作品は無料で読むことができます。電子図書はあまり好きではない世代ですが、このあたりは便利だなあと、都合勝手に使っています。
今では国道沿いから、ありふれた景色として見える空知川ですが、独歩が訪れた時代は、札幌から汽車で歌志内まで行き、さらにそこから案内人を伴って、徒歩で山越えをして訪れ、深い森の雄大な自然に感動したことが描かれています。
もしも今、独歩が現代の風景を見たら、どう書くでしょうか。